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聖書の読み方

キリスト教入門(2):クリスチャンとは「復活とその証言を信じる人たち」

「そして葬られたこと、聖書に書いてあるとおり、三日目によみがえったこと、ケパに現れ、次に、十二人に現れたことである。そののち、五百人以上の兄弟たちに、同時に現れた。その中にはすでに眠った者たちもいるが、大多数はいまなお生存している。」コリント人への第一の手紙15章4-6節

前回の「キリスト教入門」ではキリスト教を理解するには「罪」αμαρτιαの理解が必須であり、そのためにはユダヤ民族の歴史を知る必要があると言いました。
ところが、その前に1つとても大事なことを話しておかなければならないとに気づきました。
新約聖書の同じ箇所にクリスチャンが「キリストが私たちの罪のために死んだ」ということを信じる根拠が記されていると言う事です。
コリント人への第一の手紙15章4節以降こう続きます;
ギリシャ語でκαὶ ὅτι ἐτάφη、καὶ ὅτι ἐγήγερται、καὶ ὅτι ὤφθη。日本語で言いますと、「又すなわち、彼は葬られた」、「又すなわち、彼は蘇らされた」、「又すなわち、彼は現れた(見られた)」。
そうなんです。クリスチャンは死んで葬られたキリストが復活した(させられた)ということを、信じていると言う事です。普通にはあり得ないことを信じているのですね。よくまあ、そんな事を信じることができるものだとお考えになるのも当然です。どうしてそんな非科学な事を真面目に信じ受け入れられるのでしょうか?
それは、復活のキリストを見た人々の証言のお陰です。
彼らは元ユダヤ教徒だったりキリストの親族だったり、あるいはたまたま同時代に彼らと接触のあった人々だったりするわけですが、熾烈な迫害や時には殉教の死をとげてでも「キリストが私たちの罪のために死なれた、葬られた、蘇らされた、そして実際に見た」ことを確信し、キリストの教え、「キリスト教」を伝え続けたと言うことです。
彼らの証言の記録である新約聖書の物語やそのなりたちの話も、きっと面白いと感じていただけると思います。しかしここは、話を元に戻して、旧約聖書の話し、ユダヤ民族のお話を先にいたします。

ギリシャ語一口メモ

ギリシャ語を少しかじるとκαὶ ὅτι ὤφθη(ケ ウティ オフテー)のὤφθη(オフテー)は、ὁράω(オラオ:目で見る、見かける、気づく・訪ねる・ある状態や出来事を経験する・証人となる・精神的霊的に理解する、洞察する、など)のアオリスト・受動態・直接法の形で、直訳すると”was seen”「見られた」となります。実際に、英語訳聖書のKJVやNLTは”he was seen”(彼は見られた)と訳している。しかし、大多数の英語訳聖書NRSV、NASB、ESV、NIV、NET、などでは”he appeared”となっており、日本語の口語訳聖書や新改訳聖書、聖書協会共同訳などでも「現れ」と訳されています。ὤφθηの新約聖書の他の箇所での使われ方たからここの箇所で”appeared”「現れた」と訳するのが自然で問題ないという事ですが、KJVやNLTが訳しているように、ここは”was seen”「見られた」と訳するのが見る側の視点、実際にその目で見た人々の証言であると言うことが強調されるように思えます。

Thiselton, A. C. (2000). The First Epistle to the Corinthians: a commentary on the Greek text. Grand Rapids, MI: W.B. Eerdmans.

KJV (King James Version), NLT (New Living Translation), NRSV (New Revised Standard Version), NASB (New American Standard Version), ESV (English Standard Version), NIV (New International Version), NET (New English Translation)

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