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聖書の読み方

キリスト教入門(4):4000年前の人アブラハム

今日はやっとユダヤ人の歴史の話しに入れます。

大体どの民族もその始まりを語る時、先祖の話をします。その地に住んだ最初の人とか、その民族の最初のカップルなどについてです。
聖書に登場する最初の人はと聞くと、「アダムとエバでしょう」と答えが返って来ることが多いですが、ユダヤ人の歴史で言いいますと、そうではなく「アブラハムとサラ」が答えになります。

古事記では兄3人とともに最初に名前が記されている人物は日本の初代天皇、神武(じんむ)天皇です。彼は神と女神の子供と言う事になります。

ユダヤ人の歴史を記したTANAKH(タナーク)の中の最初の書、「創世記」の12章に登場する人物、アブラハムは神様からとても大切な約束を頂いた最初の人間です。
ユダヤ人がTANAKH(タナーク)と呼んでいる文書は、キリスト教的な立場から旧約聖書と呼ばれているものと一緒です。

(タナーク(TANAKH)と言う呼び方は、この書を構成する24の文書を3つのセクションに分けた、そのセクション名の頭文字を並べたものです。律法TORAH、預言NEVIIM、文書KETUVIMから、TANAKH。)

このTANAKH、或いは旧約聖書の最初の書、創世記は何時ごろ書かれたものでしょうか?

ここで、比較のため古事記についてみますと、これは紀元712年に日本の第40代天皇、天武(てんむ)天皇の命によって太安万侶(おおのやすまろ)が完成させたとされています。

創世記をはじめ、TANAKH成立の年代については学者たちは大凡二通りの見解に分かれており、その書の語る年代に書かれたとする立場(a)と、その書の言語的特徴や内容の分析から書かれた年代を推測する立場(b)です。前者の立場ですと、創世記はモーセという人物が紀元前15世紀か紀元前13世紀にその一部または全部を書いたこととされます。後者の立場ですとTANAKHの執筆は紀元前10世紀頃に始まり、紀元前5世紀から2世紀の間に編集が終了したとされます。どちらの立場を取るかにもよりますが、古事記完成より約1000年から2000年前ということになります。

さて、創世記に登場するアブラハムが生きていたとされるのは紀元前2000年頃の、南バビロニア地方の当時としては世界有数の町ウルの近郊でした。
今から約4000年前に神様はこのアブラハムという人と約束をしました。その約束というのは、神様を信じ、神様の示す土地に移住すればアブラハムの子孫を大いに増やし、その子孫を通して全人類を祝福する、というものでした。これが、人類の歴史をたどると、神様と人間との最初の歴史的接点であり、ユダヤ民族の歴史の始まりです。

ここで、考え、注目すべき点は、色々な民族や文明の始まりには、なんらかの神や、神々や、神のような存在が、人間となんらかの関わりを持つことが語られますが、ユダヤ民族の始まりには人間アブラハムと後にヤーヴェと言う名が示される神様との間の約束あるいは、契約があったということです。

次の話では、この契約とユダヤ民族存在の意義について解説したいと思います。

(a) 創世記の筆者はモーセ

Elwell, W. A., & Beitzel, B. J. (1988). Genesis, Book Of. In Baker encyclopedia of the Bible (Vol. 1, p. 851). Grand Rapids, MI: Baker Book House.

(b) 創世記はユダヤ王朝紀の頃から執筆が始まった

Hendel, R. S. (1992). Genesis, Book of. In D. N. Freedman (Ed.), The Anchor Yale Bible Dictionary (Vol. 2, p. 933). New York: Doubleday.

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